IT (情報技術) 学習記録-もしくは中高年(就職氷河期世代)の生き方-

IT系,または,電気通信系資格の学習記録を中心に。もしくは中高年(就職氷河期世代)の生き方,働き方,世の中。中高年の転職の現実。

「失われた20年」で本当に失われたものとは……これは現在でも失われ続けており「失われた30年」というものも現実味を帯びている


「失われた20年」で本当に失われたものとは……これは現在でも失われ続けており「失われた30年」というものも現実味を帯びている


今日は東京都議会選挙の投票日であるが、やはり投票率は低迷するのであろうか。

日本は2008年をピークに人口が減少に転じ、ついに人口減少社会に入っている訳であるが、東京の人口だけはまだ増加している。(それでも2020年あたりまでがピークで、その後は急速に少子高齢化が進むとも言われているが)

いまや1300万人という、日本の全人口の1割もの人が東京に居るという事になる。東京の政策の失敗は国政にも大いに影響するだろう。


日本は、1990年頃のバブル崩壊まで、だましだまし経済成長を続けてきた社会であった。

しかし、国策としてバブル景気を発生させ、そして、国策としてそれを崩壊させた事で、ついに日本の経済成長、および経済大国としての実体はなくなった。

その後に訪れた低迷期が「失われた20年」と呼ばれている。

一億総中流」と言われた社会構造は崩壊し、格差社会が浸透していった。


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IT業界においても、1990年代は、景気こそ良いように見えたが、実のところ、情報システムの「オープン化」の名の下に、「ITに関心も興味もないユーザー企業」が、「短期的な利潤のみを追い求めるITベンダー」との利害の一致を見せ、以下の事がどんどん進行していった。

  • ユーザー企業が自社の情報システムの再構築や開発を上流工程から外部に丸投げ

  • ITベンダーは多重請負構造を構築して大規模案件を受けまくり、オープン化の名の下にシステムを食い荒らす

そんな状況が、いわゆるITバブル崩壊と言われた2000年代初頭まで続けられた訳である。


残るもの 残らないもの 貴重なもの そうでないもの


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上図のように、大きなものを作ったりする場合、システム開発を例にすると、

  • (1) 基本思想、システム化の目的、考え方、アーキテクチャ

  • (2) システム化詳細設計、デザイン、実装、プログラム

  • (3) システムの利用ガイド、手順書、運用資料

…といった、3つのカテゴリーに分解できる。

内容の質という観点から、(1)の方が付加価値は高いし、できる人が少なく貴重である。


ITに無関心なユーザー側経営者ととにかく短期的な売上を得たいITベンダーとの利害の一致が生み出した大安売り


かつては、いまではすっかり聞かなくなったが、上記で言う(1)にあたるような、いまで言う「上流工程」を専門的に行う者として、SA(システム・アナリスト)という存在が居た。

起こったことは、IT技術者が「SA単価」では契約できなくなった。(無論、この単価契約という制度自体にも問題はあるが)

  • システム化の基本仕様や要求仕様の作成はユーザー側企業の情報システム部でやるから、ITベンダーには決められたそれらに基づいて粛々とシステムを開発すれば良い (実際には、自社業務もろくに知らない、システム開発の経験もない素人が作った「使えない基本設計書」があるのみ)

  • ITベンダー側も外注化が進んで空洞化しており、とにかく案件を安く受けまくる

  • ユーザー側企業とは最も距離が遠い下請け企業の技術者が、上記の(2)を実施するためには結局(1)の部分が必要となり、(1)も含めて不完全なものを開発する (もちろん安い単価で)

  • (1)が不完全な状態で出来上がったシステムが使いやすい訳もなく、炎上案件となる

…という事が、くりかえされた。


近年になって、「丸投げはいけない」とか、「自社の重要なノウハウの流出はマズイ」とか言われるようになったが、あまりにも遅すぎる。

20年間以上も、上記のような状況を作り上げてきたのに、それが簡単に戻せる訳もない。

いまになって、自社の基幹業務の知識を自社内の誰も持っておらず、そのためにシステムの維持すらできなくなって、開発当時の技術者を探し求めても、その人は既に業界を去ってしまっていた、などという事が本当に起こっている。

自業自得である。


真の意味での『同一労働同一賃金』とは何かを考えてそれを実現しなければ日本は滅亡するだろう



真の意味での『同一労働同一賃金』とは何か。

それは、仕事の価値を正しく評価して、それに見合う処遇を行うということである。

ただ単に時給を上昇させれば良いという問題ではない。


よく「正社員は簡単には辞めさせられないので、コスト増となり、非正規雇用しか増やせない」という理論を聞くが、それはどうなのだろう。

社員のパフォーマンスが出ないのは、本人だけではなく、仕事を任せる管理職の責任でもある。要するに、その人の「使い方」がうまくないだけではないだろうか。

場合によっては、処遇を落としても良いと思う。


以前にも何度か書いたが、「その仕事をお金を払ってでもやってみたいと思っている人は世の中にはたくさん居る」のである。

正当な理由で処遇を落とされたり、仕事を外されたりしたのであれば、受け入れてみるしかない。

そして、自社とか委託とかに関わらず、真の意味で付加価値の高い仕事をしている人を、正当に評価し、処遇し、リスペクトする文化を醸成しなければならない。


近年、日本を代表するような巨大メーカーが経営不振になり身売りされたり、中国にどんどん技術が流出して、かつてとは立場が逆になりつつあるとか、そんな話がニュースになっているが…。

それは結局のところ、貴重な知識やスキルを保有していて本来は大切に処遇しなければならなかった「人財」を、まったく大切には扱わず低い労働条件で使い倒してきた事の、ツケが回ってきたというだけなのである。

このままでは人口減少、少子高齢化労働人口現象などと相まって、本当に日本は滅亡してしまう事だろう。


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