資格に助けられたこと
資格に助けられたこと
資格に関してはネット上でも様々な意見があり、ポジティブなものも、ネガティブなものも散見されます。
私は、1990年代(就職氷河期)に新卒でIT企業(システムインテグレーター大企業)に入り、そこで25年以上勤めたあと、昨年、40歳代後半で転職活動をして、IT業界とは全く異なる業種(ビル設備管理)に転職しました。
そのような経歴の中で、自分としては…
「資格に助けられた」
…と感じています。
それを、ほんの少しだけ書きたいと思います。
どの資格に助けられたかというと…
…特に挙げるなら、この2つです。
第二種情報処理技術者試験 (新卒時)
このブログの過去記事でも書いていますが、私の最終学歴は大卒ではありません。
しかしながら、新卒で入社したIT企業では、大卒と全く変わらない仕事内容、待遇で働けました。
その要因の一つは、学生時代に「第二種情報処理技術者試験」に合格していたからだと思います。
(※)注記も参照のこと
「第二種情報処理技術者試験」は、現在の「基本情報技術者試験」の前身となっている試験です。
1990年代当時、国家試験の「情報処理技術者試験」としては…
…という種類しかありませんでした。(通常のプログラマー、システムエンジニア向けとしては)
そして、第二種でも、合格率は10~15パーセント程度と、現在の基本情報よりも低かったです。
難易度については、ここでは詳細には触れませんが、情報系の専門学校では、第二種の合格に向けた合宿が企画されるなど、学生のうちに合格できる者は、そんなに多くはなかったレベルです。
無論、この試験の合格証、一本のみで、就職が有利に働くことはないです。
学校の成績自体が、かなり上位だったこと
当時の学校の担任教師から、そのIT企業を勧めてもらったこと
学校において、文芸系サークルの立ち上げに関わったことなどの経験が、採用面接の際、当時の役員に評価されたこと
…などといったことが重なったのが、要因だと考えています。
それでも、当時、大卒が基本だった採用枠に、非大卒の自分が入り込めたことは、
「第二種情報処理技術者試験」の合格証があってはじめて可能となったことでした。
その後、IT企業に入社した後にも、「第一種情報処理技術者試験」など、様々な試験に挑戦しました。
第三種電気主任技術者試験 (転職時)
電験三種については、ネット上でも、肯定的な意見、否定的な意見、様々です。
電験三種は非常に有名な国家資格なので、その詳細については、ここでは触れません。
40歳代後半という中高年になってから、非常に厳しい転職活動を経験した身としては…
電験三種の最大の効果は…
年齢ハードルを10歳くらい下げてもらえる効果(書類選考時)
…だと思っています。
(10歳くらいというのは私の個人的な体感です)
具体的には…
転職活動時の私の状況としては、以下のようなものでした。
- 年齢:40代後半 資格:電験三種,電工二種ほか 実務経験:なし
「年齢ハードルが10歳下がる」というのは、
上記のスペックが、下記と同等になるということです。
- 年齢:30代後半 資格:電工二種ほか 実務経験:なし
もしも、電験三種の資格がなかったら…
- 年齢:40代後半 資格:電工二種ほか 実務経験:なし
…というスペックで、就職に臨むことになったでしょう。
その場合は、少なくとも今の会社には入れなかった可能性が高いです。
ひょっとすると転職活動自体していなかったか、しても長期化していたでしょう。
このブログでも「年齢差別」の件は、何度も書きました。
転職・再就職の世界では、「年齢」こそが、最も重要なものになります。
ある意味、「若さ」というものは、最高の資格である、とも言えます。
そのような世界において、「年齢」の壁を、ある程度ならブチ破れる効果がある。
それが電験三種であると感じています。
無論、実際には資格だけで何でも有利になる訳はありません。
上記の効果も、あくまでも「書類選考」のときに限ります。
書類選考を通過しても、面接では効果は殆どありません。
中高年で採用されるには…
下手なプライドは捨ててゼロから謙虚に学んでいく姿勢
自分の子供よりも若い人であっても先輩として接する姿勢
…といった、マインドセットの構築が何よりも重要となります。
(関連過去記事)
また、いくら「電気主任技術者」の免状を持っていると言っても、
ペーパー免状のみの未経験の状態では、
いきなり本当の電気主任技術者として選任されても、何もできないです。
自分でもそれがわかっていたので、面接のときには…
「自分は電験の免状を持ってはいますが未経験者ですので、イチから勉強させていただきたいです」
…と、はっきり言いました。
あまり「未経験」を強調しても不利になるかもしれないとも考えましたが、下手に未経験なのに、いきなり電気主任として選任されて地獄を見るよりは、不採用のほうがマシだと考えました。
それに、これは入社してから感じたことですが…
会社側からも未経験でも電気主任技術者の免状持ちを確保するメリットがあります。
22KV特別高圧受電設備の現場には、とにかく免状を持っている者が必要なので、選任者以外にも確保しておくことで、不測の事態に備えられる
電験3種では66KV級には対応できないものの、電験2種持ちが太陽光や66KV側に引き抜かれてしまうことで、22KV側も人が不足する可能性があり、それに備えられる
免状保有者をなるべく多く確保することで会社としてのイメージアップにつながる
資格とるとる詐欺と成功者バイアスには気をつけよう
何事も経験…とは、よく言ったもので…
本当に、どんな資格・試験でも、本当の難易度や、価値は、
実際に勉強し、受験し、合格してみないとわかりません。
ネット上には、資格の難易度、ランキング情報などがたくさんあります。
難易度や、価値のことを記事にしたブログなどもたくさんあります。
しかし、その記事を書いた人が、
実際に勉強し、受験し、合格したわけではない
…という場合も多いです。
中には、これから勉強して取得しようと思っている
…というだけの人が書いている場合もあります。
その人には、まったく悪気はないのかもしれませんが、
説得力が欠ける内容になってしまっていることは否めません。
逆に、成功者バイアス(生存者バイアス)という現象もあります。
自分が試験に合格した経験をふまえて、
「あんな試験、たいして難しくないよ。誰でも合格できるよ」
…などと言っている人が、よくいます。
これは、成功者バイアス(生存者バイアス)がかかった意見かもしれません。
成功者バイアス(生存者バイアス)
難関資格である電験三種でさえも、
「過去問集を3周すれば受かる」
などと本気で言っている人がいます。
一つの設問をパッと見すると、非常に簡潔な設問で、たしかにかんたんだと錯覚してしまいます。
しかし、それを解答するには、非常に複雑な計算を行う必要があるというのが電験の問題です。
そういった問題が数百も載っている問題集を、3周できるなら、たしかに合格も見えて来ますが…
実際には、決して簡単にはできない…
それが電験なんですが…
(そして過去問と同じ問題は絶対に出ません)
ネット上の、経験を伴わない意見や情報にまどわされないよう、注意が必要です。
(※)注記
なお、下記の過去記事でも言っておりますが、IT系の情報処理技術者試験は、
より厳密に言うなら、「国家試験」ではありますが、「国家資格」ではありません。
(つまりライセンスとしての「資格」ではなく、認定する「試験」ということ)