IT業界の実態と業務に深く潜るべきか否かの様々な見方
IT業界の実態と業務に深く潜るべきか否かの様々な見方
このブログをお読みいただいている方には、多少なりとも私の考え方の傾向をつかんでおられると思う。
私は、過去の記事で何度か言ってきたように、純粋に「IT汎用スキル」だけで勝負しようとすると、いまのIT業界は、本当に技術者へのリスペクトがなく、技術者を消耗品のように扱うため、結果として『過当競争』に追い込む。
それから逃れるには、「IT汎用スキル」"だけ"で勝負するのではなく、特定分野の「業務やシステム固有の知識」"も"併せて保持して行くことで、希少価値を高める事が重要であると考えている。
しかし、無論の事、同じ事を、まったく異なる側面から見ることもできる。最近、それをとても強く感じた記事を拝読したので、ここに紹介したい。
新人SEが同じ場所で常駐を続けると蝉になる
上記の記事に対して、私は下記のようなブックマークコメントを付けた。
全く別の見方をすれば、様々な現場をホッパーし続け汎用ITスキルのみでの『過当競争』で安く買い叩かれるという例もある。サイロ化するならしたでそこの知識を誰にも負けないくらいにしてユーザ側に移籍する例もある / “新人SEが同じ場所…” https://t.co/CgkkuSX1sx
— ふじわら775SE@猫icon/職場復帰 (@KF7757) 2017年8月3日
この、紹介した記事内容自体には、特に反論の要素はない。確かにそうだな、と思った。
現に、私の観測範囲でも、新卒一年目から20年以上も、客先常駐で派遣されてきて、自社よりも客先での人間関係の方が広く深くなり、それこそ客先SEリーダーなどから「うちに移籍すれば良いのに」と言われることも多かったものの、様々な事情があって、いまでもそのユーザー企業のシステム再開発の有識者として、常駐型で働いているという人を知っている。
(この方は、会社は違えども新卒年度が私と一緒だったので、いろいろと共に成長してきたという思いはある)
また別の方は、長く独立系ITベンダー側の技術者として、時には常駐したり、時には請負先リーダーをやったりしていたが、ユーザー系の元請IT企業に移籍された。それも実例として知っている。
IT業界の実態を図にしてみた
IT業界の実態を、簡単な図にしてみた。普通は上にユーザー企業があって、下に下請けベンダーがあるような、ピラミッド型で表現されることが多いが、上下関係みたいで嫌なので、関係を横にしてみた。
この図を見ていただければわかると思うが、何だかんだと言っても、いちばんの問題は、この図の中間部分に居座っている会社の存在なのである。
上の例で言うならば、GHシステムの人間が、GHシステムの人間として元請けから発注を受けるとか、もしくは、容易に元請企業に転籍できるとか、そういう構造になっていない点が、まずもって問題である。
もちろん、これは、上記の紹介記事で言われる「サイロ化」されたユーザー側に近寄る方向なので、これが全て良いわけではない。
しかし、「サイロ化」の現場に入ることが、なぜ危険と言われるか。それは、「サイロ化」自体の問題ではなく、発注元(上記の図で言うと中間に位置している企業や、元請け企業)の都合で「いつでも切られる状態に置かれたまま」であることが、最も技術者を不幸にしている訳である。
技術者をリスペクトしない国、日本
バブル崩壊から20数年。
日本はすっかり、技術者(エンジニア)をリスペクトしない国と化してしまった。
本当に先進国から後進国に、どんどん下へ下へと向かっているのだと思う。
(関連過去記事)