中高年の再就職/転職の現実はとても厳しいのは本当です
1.中高年の再就職/転職の現実はとても厳しいのは本当です
現在、令和二年(2020年)。
いろんな意味で、とても厳しい世の中になっています。
いまや、インターネットにおいて、ブログなり動画サイトなりで、様々な人が情報発信する時代になりました。
転職エージェント、人材サービスに関わる「プロ」を自称する人たちも、たくさん発信しています。
しかし、昨年から今年にかけて、実際に転職活動を行い、転職をした自分としては、その「プロ」の人たちの情報と、現実との温度差・違いについて、ずっとモヤモヤした気持ちを抱いて来ました。
あまりネガティブな情報を発信したくはないのですが、あくまでも体感した事実として、お伝えしたいと思いました。
私は、1990年代のバブル崩壊直後に、新卒でIT企業(一応システムインテグレーター大企業)に入り、それ以降、25年以上、ある特殊業界の基幹系業務システム開発/保守にずっと従事してきました。
ITの世界では経験が重視されますので、資格では自分のスキルは表現できないのですが、一応、下記のような資格も取って来ました。
現在の年齢は40代後半。このような私から見た現実という話です。
2.転職・再就職の世界で最も重視されるのは「年齢」です
企業側が欲しい人材は下記のような人です。
(1)他の組織の色に染まっていない若い人。でも、基本的なビジネスマナーやスキルはすでに持っていてそれについては教育する必要がない人
(2)職場のカルチャーに従順で、職場の和を乱したりしない人。
(3)病気などのリスクを持っていない人
(4)リーダー職や管理職もしくは専門職で真の意味で即戦力になる人
(5)(上記の条件を持ち合わせたうえで)すぐに辞めたりせず長く働いてくれる人
呆れてしまうくらい高望みしている気もしますが……。
これが採用側の本音です。
この条件をすべて満たしている人など、ほとんど存在しないのが現実です。
しかし、(1)(2)(3)(5)の4条件であれば、「年齢が若い人」の中から厳選すれば、まだ居る可能性があります。(少なくとも採用側はそう思っています)
本当は、中高年の人であっても、(1)(2)(5)の3条件ならば、十分に当てはまる人も居るのですが……。(※)
上記の中で、(4)のみ、経験豊富な中途採用者(中高年含む)に期待される部分と言われます。
しかし、ここでいう「即戦力」というのは、本当に入社していきなり現場に放り出しても成果を出せるようなスーパーマンを指しています。
そのようなスーパーマンはほんの一握りしか存在しません。仮にこの(4)の条件を理由に採用されたとしても、スーパーマンでない限り、非常に苦しむことになります。
上記で(※)の行に書いたように、実際には中高年でも、そこそこ条件に合致する人は存在します。
しかし、それを見極めるための労力を、採用側は割こうとしません。
新卒採用時に大手企業・人気企業が学歴フィルターをかけるのと同様に、「年齢フィルター」をかけて、若い人の中から上記のような条件の人を採用するのです。
ここには、「中高年は年齢が高いだけに扱いづらいのではないか」といった偏見も多分に含まれています。
「スキル」「経験」といった部分が、「人並み以上」にあれば強いはず。
……おそらく多くの中高年の転職・再就職希望者は考えています。
「人並み以上」では、「年齢」の壁は破れません。
「業界で一流」と胸を張って言える程度で、ようやくなんとか土台に上がれる……。
本当に、これくらい、「年齢」の壁は厚いです。
「スキル」「経験」など、「年齢」の壁の前ではかすみます。
「学歴」などは、もっとかすみます。
3.世の中の多くの転職関連の発信者は30代以下
以下の過去記事でも書いていますが……。
転職・再就職の世界では、年齢が5歳上がると、もはや別世界になります。
そして、ご時世というか、時代環境も、どんどん変化しています。
年齢が5歳違うと、もはや見えている世界が違います。
例えば、いま、自分が48歳だとします。
転職エージェント、人材サービスに関わる「プロ」を自称する人たちの意見を聞くとき、その人が、同い年か年上であれば、参考になるかもしれません。
その人が、30代前半である場合、その人の意見は、まったく参考にならないでしょう。
いくらその道のプロでも、30代前半の人で、40代後半の人が見ている世界を想像することは困難です。
そして、現在、多くの情報発信をしている人たちの実年齢は、30代以下です。
つまり、いま、自分が50歳前後の年齢の場合、YouTubeなどで発信している、人材サービスに関わる「プロ」を自称する人たちの意見は、参考にならないのです。
4.中高年には選択肢がない
私が転職活動を行っていたのは、まだ世の中が「コロナ禍」になる直前でした。
それでも……。
冒頭に書いたような経歴の私ですが、経験が活かせるはずのIT業界でさえ、書類選考がほとんど通りませんでした。
数十社の応募の中で、ほんの2~3社、一次面接に行きましたが、マネジメント経験を問われ、不合格でした。
もっとも、もしも面接も通過して、採用に至っていたとしても、非常に高度なマネジメントなどを要求され、苦しむ未来が想像できます。
このようなこともあり、IT業界はあきらめました。
転職活動の中で得た、体感として、比較的、中高年にも門戸を開いている業種は、以下の業種です。
(1)介護業
(2)清掃業
(3)警備業
(4)ビルメンテナンス・設備管理業
(5)ドライバー関連業(タクシー・物流)
私は、たまたま電気関係の国家資格(電気工事士、電気主任技術者)の免状を持っていたので、上記(4)の業界に対しては、書類通過率が高く(と言っても体感30パーセント程度)、結果してその業界を中心に活動をすることになりました。
実は(3)警備業の会社も何社か受けましたが、簡単ではなかったです。
前職を辞めたことに対しては、いっさい後悔はありません。
現在、未経験業種で、中高年の一年目として、未経験一年目としての苦労を経験している最中です。
収入面でも、だいたい前職の半分の金額まで下がりました。
いまの仕事が、「どうしてもやりたい仕事」という理由で選んだ訳ではなく、「この仕事しか選択肢がなかった」という理由が本音であるため、モチベーションなど、いろいろと苦しんでいることも事実です。
5.年齢差別を強制的に禁止される世の中になってほしい
前述「2.転職・再就職の世界で最も重視されるのは「年齢」です」でも書きましたが……。
言うなれば「年齢差別」が横行している世の中です。
採用側の気持ちというか、本音はわからなくもないです。
若い人が欲しくて、中高年の人は要らない、というのは、もうどうしようもないことです。
それでも、人生100年時代と言われ、政府も「年金支給は後ろにせざるを得ないから70歳まで働いてくれ」と言っている世の中です。
そう遠くない未来に、世の中は中高年、老人であふれます。
であるならば、50歳でも、60歳でも、普通に働ける世の中にならないといけません。
年齢差別を強制的に禁止される世の中になってほしいです。