ITエンジニアの世界は参入障壁がとても低い
ITエンジニアの世界は参入障壁がとても低い
ITエンジニアの世界は参入障壁がとても低い。
これは事実だ。
良くも、悪くも、である。
私が勤務している組織は、まったくたいした組織ではないので恐縮だが、毎年の新入社員の半数は非情報系(非IT系)の学校卒業者だ。
いわゆる「文系」の学生も3割くらいはいる。
それ自体、悪いことではない。単に事実を言っているだけである。
新入社員研修は、約3ヶ月。
その期間で、情報工学系の学生が経験したものと同じ学習は、当然ながら不可能だ。
うちの組織の場合、統合開発環境を使用したプログラム開発を、一通り実施するようである。
具体的には、Eclipse系の環境で、Java言語による開発がメインだ。
その他には、ネットワーク系や、データベース系の基礎も……やるのかな……。
……やっていてほしいが、その期間で、「本当の基礎」はできないだろうと思う。
SQLの触りくらいはやるのだろう。
何が言いたいのかと言うと、上記の新入社員研修では……
*「コンピュータの本当の動作原理」
*「コンピュータ・アーキテクチャ」
*「OS(オペレーティング・システム)の基礎」
……といった、本当の基礎部分は、やらないのである。
正しく言えば、その期間では「できない」。
どのような分野であっても言えることだが、「本当の基礎」が、最も難しく、学習に時間を要する。
そして、「本当の基礎」を学習しても、学習しなくても、実際の仕事を遂行するだけであれば、目に見えるほど差が出ない。
コストパフォーマンスが最悪なのである。
プログラム開発などは、まさにその典型だ。
良いプログラミングを行うためには、できるだけたくさんコーディングすることが良いとされている。
それはそれで正しい。
だから、みんな「コーディングしたい」と言う。
それでも現状に満足せずに学習してほしい
一例を挙げよう。
私の先輩に、非IT系出身で、技術系の自己学習に否定的だった人がいる。
ある案件で、プログラムの実行形式ファイルはあるが、ソースプログラムが消えてしまっている状況があった。
その先輩は、「逆アセンブルで復活できないか」と言ってきた。
私が、「いくら逆アセンブルや逆コンパイルができたとしても、ソースが元通りに復元できることはありません。ましてや、コメントなどは全く復元できません」と言ったところ、それが納得できない様子だった。
コンパイルのしくみ、アセンブルのしくみなどの基礎知識がまったくないためである。
IT系の仕事に就くことだけで、満足しないでほしい。
ひどい場合だと、「Hello world!」という表示ができたことで、そのプログラミング言語を習得した気分になっている者もいる。
IT系の仕事に就くことだけなら、なんの資格も要らない。
その意味では、参入障壁は低い。
しかし、その後が、とても大切なのである。
IT系の求人情報などを見ると……
経験したプログラム言語は何か
経験した環境(汎用系、オープン系、Web系など)
経験したプロジェクト規模は何名だったか
……といった、本質的ではない項目が目立つ。
重要なのは、そんなことではないのだが……。
あらためて、まだまだ人材開発の面で、発展途上で未熟な業界だなぁ、と思う。