バブル崩壊は1991年から始まった……就職氷河期世代(日本版ロスト・ジェネレーション)は忘れない
バブル崩壊は1991年から始まった……就職氷河期世代(日本版ロスト・ジェネレーション)は忘れない
今回の記事は、記事というよりも記事の紹介。リンクの覚書のようなものに終始している事をお断りしておく。
最近、唐突に気付いたのだが、「バブル崩壊」「就職氷河期世代」「失われた10年」「失われた20年」「ロスト・ジェネレーション」などと言っても、今の20代の若手には通じない用語になっている。
私の認識では、バブル崩壊は1991年頃である。そしてその影響が就職戦線に一気に来たのは、1993年新卒の世代からである。
考えてみれば、もう25年も昔のことなのだ。今の新人が生まれる前ではないか。
しかし、今日の読売新聞の社会保障(26面)には、下記のようなタイトルの記事が並んでいる。
「いまさら何を言っているんだ」と言いたくなる記事ではあるが、これが全国紙の真面目な社会保障面の記事なのである。
1993年に20歳前後だった世代は、いまでは45歳前後になっている。
1993年時に高校卒業で社会に出た人は、43歳くらい。
1993年時に短大・専門学校卒業で社会に出た人は、45歳くらい。
1993年時に大学卒業で社会に出た人は、47歳くらい。
いま、いわゆる「ひきこもり」や「ニート」の高齢化が問題視されながらも、「39歳以下しか対象としてみなさない」というバカみたいな行政側のずさんな実態調査もあって、いまだにその深刻度が正確には把握されずにいる。
それがまさにいまの40代であり、25年前の「バブル崩壊」時期に社会に出てきた「就職氷河期世代」の先頭世代なのである。
下記の記事でも書いたが、バブル崩壊前までの20年間は、経済成長時代であるにも関わらず、大学進学率は30パーセントに届かない(20パーセント台)で、大きな変化はなかった。
それが、バブル崩壊後の大不況時に、一気に上昇に転じた。だが、それは、それまで言われてきた『一億総中流社会』を破壊する、『格差社会』への扉のひとつだった。
恨みも込めて記憶しておきたい作られた時代
戦後のベビーブーム時に生まれた、「第一次ベビーブーム世代」は、いわゆる「団塊の世代」である。この世代は「逃げ切り世代」と揶揄されている。まともな公的年金などの社会保障をギリギリ受け取ることができる最後の世代だと思われるからである。
今から10年位前、団塊の世代の一斉退職によって「2007年問題」が発生すると言われた。しかし、結果としては、この世代の多くはいまだに影響力のある職場に残っていたり、業務のIT化などの影響でそれほど大きなインパクトにはならなかった。
そう。多くの企業のトップや中小企業の創業者などは、いまだに後継せずに、現役でいる。従って、本当に問題が表面化するのは、おそらく団塊の世代が全て75歳以上になるであろう、2025年くらいなのである。
日本の経済成長時代は、上記の団塊の世代と、その後続の世代によって、良きにしろ悪しきにしろ、形成されたのだろう。
一方で、「第二次ベビーブーム世代」という世代も存在する。これが、ちょうど「就職氷河期世代」の先頭世代と同じなのである。
人数が多いという事は、それだけ政治的な発言力もあると思われるが、「第一次ベビーブーマー」向けには様々な制度が味方をしたが、「第二次ベビーブーマー」向けにはその反対の事が起こった。
1990年代からの「失われた20年」は、特定の世代を特に犠牲にした、作られた時代であったのではないだろうか。恨みも込めて記憶しておきたい。
ダイヤモンド書籍オンライン 今知っておきたい、90年代のバブル崩壊物語 3分で学びなおす日本経済史 第4回 株価暴落から山一・拓銀・長銀の破綻まで (著:蔭山克秀)
いま政府が画策している「残業代ゼロ法案」が施行されると本当に日本は先進国ではなくなるだろう
最後に、「残業代ゼロ法案」に関係する記事を紹介する。
世代論とは少し方向性が異なるように見えるが、実はそうではない。
「労働者派遣法」がどんどん規制緩和の方向に進んで、いつの間にか「派遣社員」が、昔の「高度な技能を提供してくれるお客さま」ではなく、「単なる雇用の調整弁」として扱われるようになったのと同じように、「残業代」という労働時間のブレーキを「規制緩和」しようとされている。
「成果型労働」「成果で評価する」という誤報が止まらない 佐々木亮 弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表
この「残業代ゼロ法案」が施行されると本当に日本は先進国ではなくなるだろう。