本当に理解できるまでには時間がかかるように脳はできている(勉強論)
本当に理解できるまでには時間がかかるように脳はできている(勉強論)
脳科学の本を読んで知ったことである。
脳において記憶に重要な役目を担っている器官が「海馬」である。
勉強したときの記憶はまず、とりあえず「海馬」に格納される。
その後、「短期記憶」として処理するか、「長期記憶」として「大脳皮質」に送るか、峻別される。
ここで「長期記憶」とされるか否かは「生物として生きていくうえで重要な情報かどうか」で決められる。
なので、「こういう臭いの食物は食べない方が良い」などという情報は、長期記憶になりやすい。
一方で、勉強した情報などは、生物としての生き死ににとってはどうでも良い情報なので、長期記憶にはなりにくい。
勉強をしたり、研修や講義を受けたりして、「覚えた」「わかった」「理解した」と思ったとき、その情報はまだ「海馬」にある。
そのままでは「短期記憶」として処理されて、忘れてしまう。
海馬に留まる期間は最大でも一カ月。それを過ぎると記憶は消えてしまう。
脳は、そのようにできている。
脳は、学習したことを「忘れる」ようにできている。
では、忘れないようにする方法はないのだろうか。
ある。
それは、「覚えた」「わかった」「理解した」と思ったことでも、再度、「覚える」「わかる」「理解する」を行うということ。
これを「くりかえし行う」という地道な努力しかない。
それをすることで、「海馬」にある記憶が「重要な情報である」と脳をだますことになり、「長期記憶」になりやすくなる。
レミニセンス効果 (時間が経ったほうが記憶が定着する)
レミニセンスという言葉がある。
「レミニセンス効果」とも言われる。
脳は睡眠をとっている時間に「夢」をみる。そのほとんどは覚醒した時点で覚えていないが、ほぼ必ずといって良いくらい脳は「夢」をみているそうである。
その「夢」をみているときに、脳では「記憶の整理」を行っている。データベースの索引を再作成しているようなイメージだろうか。
いままで、いくら本を読んでも「わかった」という感触がつかめなかったことが、ある日、ふと「わかってしまう」ことがある。
いままで、他人が書いた昔のソースプログラムを追いかけていても、なかなか意味がわからなかったものが、ある日、ふと「わかってしまう」ことがある。
これが、「レミニセンス効果」である。
(これは、当然のことながら、一度以上、しっかりと「わかろう」という努力をして学習するということが前提となる)
一夜漬けが最も時間をムダにしている勉強法である
上記の考え方からすると、何事も「早いうちからはじめる」ことが重要であると言える。
そして、「本当に理解できるまでには時間がかかるように脳はできている」と言える。
脳は大量の情報を一気に学習することには向いていない。
例えば一夜漬け勉強のような、短期間での詰め込み学習は、結果として「短期記憶」として忘れてしまう確率が高くなる。また、睡眠時間を削ってしまうことで、「レミニセンス効果」も働かない。
勉強をしっかりと時間をとって行った人は、それだけ深い理解をしている。
自分も心がけていきたいと思う。