Web系は「ツール型IT」、基幹系は「プラント型IT」、なるほどわかりやすい言葉だ
Web系は「ツール型IT」、基幹系は「プラント型IT」、なるほどわかりやすい言葉だ
三年間も病気療養のために仕事を離れていた私が、現場に復帰して、1年半あまり。
歳を食った平社員にすぎない立場ながら、別に変に守りに入る必要もなく、立場を超えての言動を割と許容する社風なこともあり(※1)、これまで好きに仕事をさせてもらっていた。
昨年度は、数十人月規模のプロジェクトを実質的に全部主導的(実質リーダー)に回した。
(※1)IT系はどこもそうだと思う。何故ならば、結局は「できる人がやる」しかなくなるのが「システム開発プロジェクト」だから。
新年度に入り、数年前から進行中の大規模プロジェクトに「現行/既存システムを知る有識者」として参画することを命じられ、また仕事の環境が変わり始めた。
この5月の連休明けからは、一気に本腰を入れて参画することを余儀なくされそうである。
大規模プロジェクト「あるある」を垣間見る
連休直前の日。臨時のプロジェクト全体会議をやるから出ろ言われ、参加してみた。
大規模プロジェクト「あるある」を垣間見た。
PM,PMO側が発表する全体方針(スケジュールや体制)の受け止め方がチームや会社によってバラバラ
現場を必死に回しても回しきれずにいる若手リーダーが困惑しつつ冷めている
各社リーダークラスは必死に高稼働状態のようだが末端クラスへの意識/知識の展開ができていない
みんな、各個人を見ると、必死で頑張っている。
それでも、「深刻な人手不足」だとリーダーは悲鳴を挙げる。
『会社のITはエンジニアに任せるな!(白川克著)』を手にとってみる
プロジェクトに対し、何か良い貢献ができないものかと考えて、
という本が非常に評判が良いようだったので、読み始めた。
私は基本的にコンサルタントのお仕事はあまり良い印象を持っていない。何故ならば、世の中の多くのコンサルタントの方々は、無知なユーザー企業の経営者たちを、決して良い方向に「教育」してはくれないからである。
しかし、この本は、まさに「無知なユーザー企業の経営者たち」を「教育」するためのことが書かれているようである。
Web系は「ツール型IT」、基幹系は「プラント型IT」、なるほど
この著者の言葉によると、ITには大きく「ツール型IT」と「プラント型IT」があるという。
「プラント型IT」は、その企業の固有業務そのものであり、他に類を見ない知見のカタマリである。
まさに、基幹系業務システムのことである。
なるほど、こういう言い方もあるのだな。感心した。なるほどわかりやすい言葉だ。広めたい。
IT系、もっと言うとシステム開発プロジェクトの中で、この「プラント型IT」の仕事は、いろいろと嫌われ者になっている印象がある。
プロジェクト規模がとにかく巨大なものが多い
ユーザー企業からSI企業、さらにはその下請けなど、多重請負構造が多い
IT面での新技術とはあまり縁がなく、ユーザー企業独特の業務仕様が優先される
サイロ化してしまう
しかし、この社会の重要なインフラ部分を支えているのが、この「プラント型IT」(基幹系システム)なのである。
銀行の日々の取引や振替、電気やガスの供給や料金支払、鉄道の日々の運行、莫大な個数が行き交う流通配送業。
こうした社会インフラは、「プラント型IT」(基幹系システム)の上で動いている。
(この中には皆さんに嫌われているCOBOLを使用したシステムも多くある)
誰もがIT(特にプラント型IT)を軽視しすぎている
ユーザー企業や官公庁の担当者は、ITを本業とは思っていない。故に関わりたくないと思っている。
(PCのオフィスソフトは非常にうまく使う人もいるがシステム開発の本質を見ようとしない)
ITベンダー側のエンジニアの多くは、ユーザー企業の業務内容になど興味がない。
(業務知識などより最新のIT技術ばかりを追いたがる)
この、ユーザー側とITベンダー側との距離の遠さが、ますますITプロジェクトを失敗させる要因になっている。
まだ読み始めたばかりだが、良い本のようなので、精読したいと思う。
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