「数字を使うと説得力が増す」とは悪く言うと「無知な奴は数字で騙せる」と言うこと
「数字を使うと説得力が増す」とは悪く言うと「無知な奴は数字で騙せる」と言うこと
世の中にたくさんある自己啓発本やプレゼンテーション指南書などには、よく「数字を使うと説得力が増す」と書かれている。
実際にも、特にエライ人はそんなことを言うものである。
否定はしない。おそらく真理のひとつだ。
しかし、数字は一見わかりやすい印象を与えるが、その意味を正確に理解していなければ、結局は騙されることになる。
以前にも記したが、「わかりやすさ」と「正しさ」は必ずしも同一ではないのである。
「画素数」というわかりやすさを「性能」の指標にしてしまってきたデジタルカメラの悪しき風習
(超ざっくりした デジタルカメラの仕組み)
数字が多くの一般大衆を騙してきた良い例が、デジタルカメラの性能指標とされているひとつ、「画素数」である。
(私の意見としては、騙される方も悪いと思うが…。)
上図に示したように、デジタルカメラにおいては、「有効画素数が単純に大きいカメラ」が、即ち「性能が高いカメラ」だとは、必ずしも言えない。
原理的には、画素数が大きくなるほど、1画素単位の受光面積が小さくなってしまうため、性能はむしろ悪化するのである。
この事実は、特段、カメラの専門家ではなくても、デジタルカメラの仕組みをわかって利用している者にとっては常識レベルの知識である。
…が、おそらく、100人中10人知っているかどうかというレベルなのかもしれないが…。
だから、少なくとも、「このカメラは旧製品がxxx万画素だったところがxxx万画素に向上したので性能が良くなった」とだけ言っている人は、仕組みを知らないで言っている可能性が高い。
(実際には、上図内にも記したが、1画素単位の受光面積以外にも画像処理エンジンの性能向上など、トータルベースでの性能向上が著しい事も多いため、その意味では昔の製品よりも最新の製品の方が性能が上であると言える場合が多い。しかし一方で、プロに言わせれば昔の特定の機種が出力する画像が良かったという意見もあり、1画素あたりの面積という原理的な強さが支持される事も、また少なくはない)
わかりやすく説明する人になるのは良いがわかりにくいことも理解する人でありたい
わかりやすく説明するという事は、とても大切な事である。
しかし、自らは、わかりにくくても正確な情報を常に捉えていたい。
そうは思わないだろうか。